ご朱印奉製処


デザインの作成から箔押し墨書まで
全て神職自らが行っている
類い希なるご朱印

基本の工程

  1. デザイン制作
    • 1、絵柄の作成
    • 2、箔押し金型(凸版)用にデータを変換
    • 3、凸版データ入稿、納品
  2. 箔押し   
    • 1、凸版の取り付け
    • 2、位置合わせ
    • 3、ムラ取り
    • 4、本番押し
    • 5、1~4を凸版の枚数分行う
  3.  
  4. 墨書、朱印   
    • 1、墨入れ
    • 2、朱印捺印

令和6年5月「登竜門」の奉製風景

1、絵柄データの作成

 最初からデザインを描く時もあれば、複雑なデザインの場合には絵柄を購入しています。
 しかし、多色で描かれ・線幅が細かったり・塗り面積が多いなど、箔押しの金型(凸版)にそのまま使用することはできません。
 購入した絵柄は主にアウトラインを流用し、細部のほとんどは描き直しています。
 購入した「鯉」の原画もお見せします。

2、版の割り付け

 絵柄のデータは凸版毎に色分けしています。1つのデザインでもベタ面が多くなり過ぎた場合、カスレの原因になるため凸版を分割します。
 今回は「分割」せずに収まりました。
 また、スタンプできるサイズをオーバーしないよう調整します。

3、入稿データへ変換

 絵柄データを、製版会社へ入稿できるデータに作り直します。
 重なり順序・デザイン周囲の余白などを考慮し、パーツ毎に白黒2色に作り変えます。
 無駄な「線・点」が入っていないか確認し、絵柄に影響しない線画はロス・トラブルのため削除します。

4、入稿データを印刷確認

 ほとんどの確認作業は画面上で済ませていますが、入稿データの最終確認は、印刷した紙をレイヤーのように物理的に重ね合わせ、サイズ・重なり等のミスが無いか確認します。
 画像は印刷した「紙」です。 当然ですが印刷物の通りに版は仕上がってきます。

5、凸版納品

 注文から最短翌日に到着。材質はマグネシウムです。令和6年5月の箔押しご朱印「登竜門」は、絵柄に5枚、文字に2枚の版を使用しています。
 「滝」の細かい表現は、絵柄付きご朱印で用いている「消しゴムはんこ」では出せません。

【箔押しとは】
 別名「ホットスタンプ」とも呼び、金属を薄くたたき伸ばした「箔」を熱と高い圧力を用いて転写する特殊印刷加工です。
 
【スタンプ設定の基本】
 温度×圧力×加熱時間の3つの要素で成り立ちます。バリ・カスレ・詰まり無く綺麗にスタンプできる値を見つけます
 ・温度、100℃~175℃
 ・圧力、~約1,000Kg(大型機~10トン)
 ・時間、0~0.5秒

6、「竜」の凸版取り付け

 熱と圧力で接着する「ボンディングテープ」を使い、凸版を熱版に取り付けます。
 テープは極薄なのですが、これだけでも高低差でムラ(斑)の要因になります。絵柄の余白部分にテープが乗るよう位置決めします。

7、圧着

 熱版を降ろし定着させます。
 加熱温度・加圧時間は機械制御ですが、圧力はハンドルを回して調整します。この機械は約1,200Kgまで加圧できる卓上型、熱版サイズは20Cm×10Cm。

8、位置合せ

 透明のフィルムにスタンプし、凸版の取り付け位置をマーク、 ガイドになる下絵にフィルム重ね、位置を割り出します。
 下敷きにしたボール紙がデコボコなので均一にスタンプできませんが影響無しです。

9、試し押し

 使用する箔に適した温度、面積に応じた圧力、加圧時間を感覚で割り出し、1ショット。
 同じ種類の箔でも使う色により熱の入り方が変わります。ベタ塗り面が多ければ圧力と加熱時間を、細かな図柄の場合には温度と圧力を加減しています。

 初回、盛大に詰まりました。

10、調整開始

 1ショット目で圧力のかけ過ぎが判明、加圧時間も0秒に変更します。
 段階的に圧を抜き3ショット目で輪郭が出てきました。

11、ムラ取り①

 前足に箔が乗っていません。輪郭が出てくると同時に、足付近がカスレてしまいました。適当なサイズの薄紙を貼り込みます。
 紙を敷くと全体的に高さが増すため、更に段階的に圧を抜きます。5ショット目で大きな詰まりがなくなりました。

12、ムラ取り②

 ピンセット付近のたてがみが少しに詰まっています。
 他部分のカスレが起きないよう更に微量づつ圧を抜き、8ショット目で調整が完了。
 調整開始よりここまで約30分。版が大きいと1時間近くかかる場合もあります。

13、本番押し

 既に「金文字」と「水しぶき」のスタンプが済んでいます。ここに「竜」を押していきます。
 設定が決まったので連続スタンプが可能、1枚づつ手差し印刷します。
 機械は両手でスイッチを同時押ししないと作動しない安全設計、動作中の画像がありません。

14、「コイ」の凸版取り付け

 竜が終わり、次に鯉のスタンプ準備です。
 基本は7~13の繰り返し、まず熱版に凸版を圧着します。
 温度は竜の設定150℃のままテスト。

15、位置合せ

 8と同じ要領でフィルムにスタンプします。
 花束などラッピングに使うロール状のPPフィルムですが、ロールの外側には全く箔が着かず、内側にしかスタンプできません。謎です。

16、試し押し

 鯉に使用した色は「ピンクゴールド」。配色はすぐ決まる時があれば、なかなか決まらない時もある、悩み要素の1つです。
 1ショット目、画像では気になりませんがバリが出て、ウロコの細線が若干詰まっています。

17、調整開始

 スタンプ後の紙の凹み具合から、圧力ではなく、温度を下げて改善出来そうです。
 2ショット目、150℃→145℃にしましたが変化無し。
 3ショット目、135℃まで下げ綺麗にスタンプできました。
 凸版サイズが小さく細かなデザインの場合、熱が入りやすいため温度を抑え、逆の場合には加熱します。

18、本番押し

 鯉の凸版は正方形に近く、サイズも小さいためムラ取り工程が省けました。
 13同様に印刷します。

一度、温度・圧力・加圧時間の設定が決まっても、次回同じ設定でキレイに印刷できるとは限りません。
 その日の湿度・気温により印刷物の表面の状態が変わるため、割り出した設定は「おおよその目安」にしかなりません。
 毎回凸版を変える度に、この調整作業が発生し、トータルでとても時間がかかっています。

19、墨書・朱印捺印

 全ての絵柄が刷り上がった後、宮司が丁寧に墨入れ朱印を捺印します。
 (墨書シーンが掲載許可ならず、画像がありません。朱は撮影用に先に押してあります)

完 成

  現在主流の「箔押し朱印」の表現方法は、大きく2通りあります。
 1つめは、ワンポイントサイズ1~2個の絵柄を1~2色の箔で表現する方法
 2つめは、絵柄を予め印刷した紙に、更に箔押しする方法です。 こちらは「フルカラー+箔」の組み合わせで豪華な装飾が可能。更に、箔のカスレやピンホール、箔詰まりや少しのバリが生じても下絵があることにより目立ちません。